以前のシロアリ駆除では、比較的強い薬剤が使われていました。しかし、強いからよいのではく、人体や環境への影響も十分に考えた薬剤の開発に尽力し、最近の薬剤は、人にも自然にも優しいものになっております。シロアリを駆除するだけなら強い薬剤を使えば事足りますが、その後も大切なお住まいを守り生活していかなければなりません。駆除にともなって最も使用頻度の高い薬剤について知識を深め、安心して業者に頼むことが重要です。今回は、使用する薬剤について詳しく紹介していきます。
目次
即効性よりも安全性で選ぶ
シロアリが大量発生しており、今すぐにでもどうにかしたいと思われる方も多いと思います。シロアリが家中をはい回っている状況はすぐにどうにかしたいと思うのが当然のところだと思います。しかし、ここで気になるのが、すぐにシロアリを駆除するためにはそれなりに強い薬剤を使う必要があるのではないかという点です。実際にシロアリ駆除には、強い薬剤が使われることが多く、人体への影響も100%ないわけではありません。
薬剤の研究開発も進んでおり、より人体や環境に影響が少なく即効性のある薬剤が開発されています。それでも、影響が全くないというわけではない事を十分理解しておく必要がります。
即効性だけで駆除の方法を選択するよりも人体や環境への影響を加味したうえで安全性も十分に考慮して選ぶようにしましょう。シロアリ駆除の工法には2つの種類がありそれぞれに特徴があります。
1. 即効性重視 「バリア工法」
バリア工法は、被害箇所やシロアリが発生している箇所に薬剤を散布してシロアリを撃退する工法です。即効性がありすぐにでもどうにかして欲しいという方にとって最適な工法と言えます。また、その薬剤の効果も5年程持ちますので、その間大切なお家をシロアリの脅威から守ることができます。
2. 安全性重視 「ベイト工法」
ベイト工法は、ベイト剤と呼ばれる薬剤が入ったものを地中に等間隔に埋め込み、薬剤を餌と勘違いして巣に持ち帰ったシロアリが仲間に分け与える事で巣の中から撃退する工法です。ベイト剤は、シロアリを含め脱皮を繰り返す昆虫に有効の成分で、脱皮を抑制し死滅するものです。ですので、人体や環境への影響は全くありません。
このように工法にも2種類あり、即効性ばかりを重視するのではなく、安全性も加味して選択できます。シロアリ駆除の工法に関してはこちらの記事をご覧ください。
主にシロアリ駆除で使用される薬剤の種類とその特徴については以下のようなものがあります。
薬剤の種類 | 特徴 |
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ネオニコチノイド系 | 現在最も主流のシロアリ駆除用薬剤です。ニコチンに似た成分で出来ており、殺虫剤などにも使用されています。 |
ピレスロイド系 | 防虫菊の花に含まれる天然殺虫成分に似たものをもつものです。即効性がありますが、刺激が強いのが特徴です。哺乳類や鳥類への影響もあることが知られています。 |
フェニルピロール系 | 細胞を飢餓状態にすることでゆっくりと効果を発揮する薬剤です。赤ちゃんや妊婦のいる家庭での使用は控えた方が良いでしょう。 |
フェニルピラゾール系 | 毒性が強く少量の薬剤で大量のシロアリを駆除することができます。即効性に優れ、かつ効果が長持ちするといった特徴があります。空気汚染しますので環境への悪影響もあるのがデメリットです。 |
カーバメート系 | 昆虫の神経を過剰に興奮させて呼吸混乱に陥らせることで死滅させます。こちらは、人体への影響も高いため、使用する際は環境に十分配慮する必要があります。 |
ホウ素化合物系 | 防虫剤でよく知られるホウ酸です。哺乳類への悪影響はなく、シロアリを撃退するのに十分な効果が期待できます。 |
ヒノキチオール系 | ヒノキチオールは、撃退するための薬剤ではなく、忌避効果が期待できるものです。塗布した場所にシロアリが寄り付かなくなり予防します。 |
シロアリ駆除用の薬剤は、公益社団法人日本しろあり対策協会で安全性が確認され認可のおりているものを使用しています。業者選びをする際、この日本しろあり対策協会の認可がおりているものをきちんと使用しているかどうかの確認をするようにしましょう。
公益社団法人日本しろあり対策協会 https://www.hakutaikyo.or.jp/
アレルギーが起こるパターン
成人した大人であれば、身体も強いためアレルギーや身体への著しい影響というものはほぼありません。しかし、妊婦や小さいお子さんの場合、免疫力も低くアレルギーを起こす場合があります。特に赤ちゃんの場合、アレルギー反応を起こす場合が十分に考えられますので、駆除にあたって薬剤の使用は十分考えられた方が良いでしょう。
小さい子供、赤ちゃん、妊婦さん、ペットがいる場合
小さい子供や赤ちゃんやペットがいるご家庭では、間違って口に入れてしまう危険性も十分に考えられます。また、妊婦さんの場合、胎児への薬剤の影響も考えられ、アレルギーを起こす事もあります。認可がおりているものとは言え、必要以上に薬剤を投入する、使用上の注意を無視して使用するなどがあると決して安全とは言えません。信頼できる業者とよく話し合って駆除作業へ進んでもらうようにしましょう。
薬剤の匂いについて
シロアリ駆除に使用する薬剤によっては、刺激臭のような臭いがある場合があります。この臭いについては、費用を安く抑えるためにお客様自身で薬剤を購入し施行した方々に多く聞かれます。特に自立換気型の建物の場合、床下に使った薬剤が家中を循環することになりますので、しばらく家中が刺激臭に悩まされることがあります。
その点、シロアリ駆除の業者の方は、建物の構造等も理解した上で薬剤の使用をされるので安心ですね。大切なお家や家族を守るためにも費用面ばかりを重視するのではなく、適切な処置ができる業者選びが重要になってきます。
薬剤の使用中に家にいて良いか
多くの業者の方が進行状況の把握をしていただくためにお客様に在宅もしくは連絡が取れる状態にあることを希望されます。薬剤の影響が少ないお部屋や敷地内にいるなどして、出来る限り薬剤を使用するエリアには入らないことをおすすめします。ほとんど人体には影響はありませんが、人によってその影響の度合いは変わりますし、一概に大丈夫というわけでもないからです。
天然成分を使った薬剤もある
天然成分の薬剤には、ヒバや除虫菊などの成分のものがあります。ただし、シロアリの駆除は、直接噴射して死滅させるだけが目的ではなく、その後シロアリの被害が拡大しないように寄せ付けなくする効果も必要になります。そのことからも天然成分だからといって大丈夫というわけでもありません。
天然成分が必ずしも安心安全なものではないことをまず念頭に置き、シロアリを駆除できることはもちろん、その後家をバリアすることも十分に考慮して最も効果的な薬剤を選択する事をおすすめします。
薬剤の選択理由や影響について知識を持っておく
業者に依頼する前に薬剤についての知識を依頼する側もある程度把握しておくことをおすすめします。シロアリによる家の被害を最小限に抑える事ももちろん重要ですが、薬剤を使用する以上多少なりとも影響はありますので、ご家族やペットや環境等の事も十分配慮した上で適切な判断をしましょう。
薬剤の知識とその特徴について知っている事で、業者に依頼する場合の判断材料にもなります。是非この機会に薬剤について知り、適切な業者選びに役立ててください。